脱毛時の痛みを軽減するプロピトカイン配合の麻酔クリーム
通常、医療機関で永久脱毛を行う場合、レーザー照射による医療行為が行われますが、発毛が関係する組織に直接照射する都合上、多少なりとも痛みを感じてしまいます。
ただ、全身麻酔が確実に行われる内臓系の外科手術等に対して、皮膚を対象とした病気の場合、全身麻酔または麻酔無しで行われるケースが一般的でした。しかし、大手製薬メーカーの佐藤製薬株式会社が、2012年に皮膚レーザー治療向けの麻酔クリームを日本で初めて医療機関向けに販売開始した後は、レーザー照射による脱毛時の痛みを軽減できるようになりました。
エムラクリームという名称で販売されている麻酔クリームには、アミド型局所麻酔薬の一種であるリドカイン及びプロピトカインが配合されている点が大きな特徴です。
リドカインとプロピトカインを乳化剤並びに基剤と一緒に混ぜてクリーム化したものですが、スウェーデンを始めとした世界70カ国で承認を得て販売されています。脱毛時に行われる皮膚へのレーザー照射によって生じる様々な痛みを軽減する他、注射時に起こる痛みを軽減する目的でも広く用いられます。
レーザー照射による脱毛治療を行う前には、脱毛箇所にエムラクリームを1g単位で塗っていき、ラップ等のポリエチレンフィルムを使って麻酔をかける方法が一般的です。リドカイン並びにプロピトカインの成分が皮膚組織の中で痛みを感じやすい部分の真皮部分に浸透していきます。
60分が経過した時点で、フィルムとクリームの成分を除去します。その後、対象となる部分にレーザーを照射すると痛みを感じにくくなり、脱毛がしやすくなるというのが主な使い方です。
なお、エムラクリームを塗った時に生じる副作用としては、対象部位が赤く腫れる紅斑や蒼白といった症状が考えられます。
ただ、両方共に発症する確率は3割以下と低く、起きたとしても深刻な被害にはならないため、安全性の高い麻酔クリームとして医療機関で広く用いられています。